人間にはふたつの力がある。
ひとつは自然を壊す力。
もうひとつは自然を守る力。
ネイチャーツアーガイドは森や山や生き物たちの声を聞き取って、私達に翻訳してくれるわけではない。
当然、彼等も人間であり、全ての自然の声を正確に聞きとることはできない。
しかし、自然と向き合い、その恩恵を日々の糧としている彼等と一緒に、見て、聞いて、触って、嗅いで、感じ、考えることは自然から距離をとってしまった私達にとっては必要な時間かもしれない。
人間が豊かな生活を送るための生産という消費活動は自然を破壊へと導いてしまっている。
ならば、なるべく自然を傷つけない生活を考え行動していくべきであり、様々な環境変化が起きている現代を生きる私達は後世に恥じない生き方を考え、実践しなくてはならない。
富士山観光は、富士山を眺めること、登ること、それ自体を目的としてしまいがちである。
だから、ついつい富士山が見えないことを残念に思ったり、登れないことを憂いたりしてしまう。
しかし、富士山は格好の学びのフィールドでもある。
新しい知識を身につける学習の場というよりも、より広く、より深く、じっくりと考え、そして体感するフィールド。 人が都市生活を営む山裾から、自然と共生する里山を経て、人が暮らさない深い森が続き、そして植物すらも根を張ることができない森林限界を越え、山頂に至る。
その広いフィールドのいたる所で、私達は様々なことを感じ、考え、その先の行動を変化させていかなくてはならない。
そのための気付きが富士山にはたくさんある。しかし、残念ながら、自然と離れている私達には気付けないことが多くなってしまった。
その手助けをしてくれるのがネイチャーツアーガイド。
人の生活のこと、動物や植物のこと、石のこと、富士山のこと、地球そのもののこと。
彼等の知識と実践は自然そのものの声ではないのかもしれない。
しかし、過去から今までの声を感じ取るためのヒントを私達よりもたくさん知っている。
彼等と一緒にワイルドサイドに一歩踏み出していこう。
この先の未来を変えるためのワイルドサイドへ。
ネイチャーガイドツアーのメリット
コンピューターが発達した現在、GPSが連動したアプリを開発してしまえば、MAPと連携し、そこに咲く花や生息する動物、景色の良いスポットなどを知ることはできるだろう。それはそれで、楽しみ方のひとつにはなる。知る喜び、見る喜びは得られる。しかし利便性を追い、安直に答えを知ることは攻略本でゲームをクリアすることに近い。
ネイチャーツアーガイドは私達に感じることを促す。普段、オフになっている五感のスイッチをオンに切り替える手伝いをしてくれる。そしてそれが自然との一体感を生む。
1 安全
まずは安全。言うまでもなく、山は天候の変化が激しい。その変化にいち早く気付き、適切な対策をする。そして、それぞれの人に合わせたペース配分ができる。子どもやお年寄り、また、そのときの体調なども考慮し、フレキシビリティが高いコース取りをするのもガイドの重要な役目である。
2 知識
自然環境はもちろん、歴史や文化にも精通しているため、参加前には目的としていなかったような意外性のある新しい知識との出会いがある。自らの五感だけでなく、ガイドの感覚を少し借りることで、今まで知り得なかった感覚や、自分では使い切れていなかった五感にきっと気づけるはず。それから得られる情報とそのものが素晴らしい体験であり、持ち帰れる大きな財産だ。
3 より多くの共感、より深い感動
感動こそ、旅の最大の付加価値。ネイチャーツアーガイドがいなくても感動はある。しかし、ネイチャーツアーガイドが一緒にいることで、自然のなかに点在している小さな感動を発見することができ、より多くより深い感動体験の機会が得られる。それを体感してしまえば、ネイチャーガイドツアーの虜になるに違いない。