岩見 昌樹 (いわみ まさき)富士山自然体験 IRORI　代表

富士登山は子供を大人にし、私達大人に明日を生きるエネルギーを与えてくれた

---

今まで多くのお客様を案内させていただきましたが、富士登山に挑戦する理由は人それぞれです。

家族や友人との思い出作り
自分への挑戦
日本で一番高い山だから
山頂で御来光をみたいから
富士山の大自然を見てみたいから
会社や学校の研修の一環として・・・

私の場合、最初の富士登山は私が8歳になった時、祖父の60歳になった記念として祖父、父、兄、私の男家族で登りました。

祖父のすぐ後ろを黙々と歩いたこと、振りむいた祖父の優しい視線、眼下に広がるどこまでも続く雲海に感動したこと、山頂に到着した時の大きな感動、走って下った砂走りなど、今でもよく覚えています。その富士登山は祖父にとって最後の富士登山になるのですが、私にはとても楽しく、理想の富士登山として記憶に残っています。

私の生まれ育った富士宮市阿幸地という地域は、昭和のはじめ頃から富士宮登山道の山小屋のオーナーや強力（ごうりき）という現在の登山ガイドや歩荷が多い地域として知られています。

私の家系も例外でなく、曾祖父常吉は戦前、祖父岩見功は、戦後から昭和45年頃まで「客引き強力」として活躍し、毎年多くの登山者を富士山山頂まで案内していました。祖父と同居していた私は、幼い頃から強力時代の話をよく聞かされていました。富士山での苦労話や実際に起きた出来事を面白おかしく話すので、私にとって富士山はとても身近な存在であり、憧れがあっても怖さはなく、一度は登ってみたい山になっていました。そして8歳の時富士登山が実現。その後、高校を卒業するまで毎年のように登り、富士登山は私のライフワークとなりました。

現在私は、少人数制富士登山ツアーのガイドとして活動し、毎年20組ほどのお客様を山頂に案内しています。

富士山は年間20万人以上登り、とても人気のある山ですが、天候が変化しやすく、また危険なポイントもあるため、トラブルの多い山として知られています。怪我、高山病、低体温症、熱中症など多岐に及ぶのですが、そのほとんどは避けることができます。ガイドとして意識していることは、お客様の顔色や息遣いをじっくり観察すること。お客様の体力を把握しペース作りをすること。水分、塩分、エネルギー補給を定期的に行い、お客様の体調を管理すること。雲の流れや風の変化に敏感でいること。危険ポイントは時間をかけて歩くこと。お客様に安心して富士山を楽しんでいただけるよう心を込めてガイド活動に取り組んでいます。

富士山は多くの魅力に包まれています。

富士登山を通じて、遠くからは見えない美しい景観に出会うことができます。そして、日本最大火山の富士山は様々な表情を持っています。火山であることを強く実感する赤黒い溶岩に覆われた富士宮登山道に火山灰が蓄積された御殿場下山道。山頂噴火口大内院と富士山で最新にして最大の噴火口、宝永火口の雄大さには言葉を失います。もちろん、山頂から見下ろすご来光や朝日に赤く染まる富士山はとても美しく、富士登山のハイライトと言えるでしょう。

以前、親子孫三世代で富士登山に参加したお客様から頂いたメールがとても印象に残っています。

そのメールには、富士登山を通じて子供は自信をつけ、祖父母は年齢を気にせず色々な事にチャレンジできるようになったこと、そしてその成功体験を共有した家族の絆はより深まったと記されていました。そしてメールはこう結んでありました。

「富士登山は子供を大人にし、私たち大人に明日を生きるエネルギーを与えてくれた」

富士登山を通しての体験は、人に未来を生きる活力を与えてくれ、人と人の間に強い絆を育ててくれます。そして日本最大の火山である富士山の壮大な自然は鮮やかな彩りを記憶に残してくれます。

毎年一人でも多くのお客様が安全に登頂、下山できるよう準備の段階からサポートさせて頂いています。

是非、家族や大切な仲間と富士登山に挑戦してください。